なぜ時間を科学するのか?
なぜ時間について書くのかというと、お金よりも時間を重視した方が、幸福感が高まるから(1)!
資本主義の現代では、お金をたくさん持っている人ほど幸福だと考えられがちですが、意外とそうではなくて、実は幸福感を決めるのは時間を持っているかどうか。
お金がある方が幸せになれると勘違いしている人が、世の中には多いですよね。お金を最大化しようとしている人は、世の中にたくさんいますが、それだけでは、幸福感は増しません。幸福感を高めるには、そのお金を使って、時間の最大化をする必要があるのです。
さらに歳を取るほど、時間の価値を高く感じるようになるという研究があります。つまり歳を取るほど、お金よりも時間を意識した方が、幸福感が高まる可能性が高いのです。
島田紳介が『紳竜の研究 』で、20歳に戻れるなら、10億払っても良いと言っていましたが、歳を取ると、どんどん時間が貴重だと考えるんでしょうね。なぜ歳を取ると時間の価値が高くなるのかというと、やっぱり無意識に残されている人生の時間を考えてしまうからでしょう。
よく言われますが、時間は、お金や権力や名声に関わらず、等しく持っているリソースだと言われています。どんなにお金持ちでも、1日を24時間以上にすることはできません。そう言った意味では、時間が1番有限で貴重なリソースと言えるでしょう。しかしその貴重なリソースの使い方は、人によって大きく違います。
時間というリソースは、全員が上手く使いたいと思っているリソースなのに、効率よく使えている人もいれば、全くの無駄に使ってしまっている人もいます。この違いは何なのでしょうか?
時間を科学することによって、時間という貴重なリソースを効率よく使い、幸福感を最大化させる!これが、この記事の目的になります。
時間については、みんなが勘違いしていること
もともと時間は誰でも余らすほど無駄にしている
みなさんは、毎日、勉強するような時間も、少しの運動もできないほどに忙しいと感じているのではないでしょうか? 多くの人は、仕事や家事に追われて、本当にやりたいことができないと感じているはず。現代人の多くが時間が足りていないと感じているのです。
メリーランド大学のジョン・ロビンソンの研究では…
- 週に60〜64時間働いていると思っている人→実際に労働時間は44.2時間
- 週に65〜74時間働いていると思っている人→実際の労働時間は、52.8時間
- 週に75時間以上働いていると思っている人→実際の労働時間は、54.9時間
だったのだそう。実際の労働時間は、感覚の労働時間と20時間ほど開きがあるのだそう。
さらに感覚だけでなく、労働時間は、年々減っていっていることが分かっています。
厚生労働省の資料によれば、1935年が労働時間のピークになっていて、年間2426時間。2009年の労働時間が、年間1775時間なので、年間で650時間ほど労働時間時間が減っています。さらに最近は、働きかた改革が進んでいるので、さらに労働時間は少なくなっていると推測されます。
またNHKの行った日本人を対象とした調査においても、明らかに日本人は、自由時間が増えています。
これだけ労働時間時間が減っているのに、米国の調査で、常に忙しいと感じている人の割合は、1965年には24%でしたが、2004年には34%でした。自由時間が多くなっているに、なぜ時間がないという感覚になってしまうのでしょうか? それには現代病ともいえる理由があるのです。
なぜ時間がないと思ってしまうのか?
マルチタスクでIQが15ポイント下がる
マルチタスクとは、2つ以上の作業を同時並行してやること。マルチタスクが、仕事術として、もてはやされていた時もありましたが、今では全く逆の結論になっています。
マルチタスクのデメリットはこんな感じ
- IQが15ポイント下がる
- 生産性が40%減
- 作業時間が50%増
- ミスが50%増
マルチタスクは、時間という視点で考えると、かなり有害な行為ということですね。現代人は、マルチタスクによって、無駄に時間を使ってしまって、本当にやりたいことができなくなっているのです。
マルチタスクで、時間がないと思い込んでしまう思考フローはこんな感じ…
この2つの感覚がマルチタスクで、時間がない錯覚におちいるパターンなんですよね。
マルチタスクで時間がない感覚になるというのは、納得できることでして、試しにマルチタスクしまくって仕事をしてみたら、まぁ焦るし、ミスするしという
スマホは強制マルチタスクタイム
現代人がマルチタスクを加速させている原因の1つが、スマホです。
スマホは、かなり便利なのですが、言ってしまえば諸刃の剣で、マルチタスクを強制させられるようなもの。使い方を間違ってしまうと、マルチタスクの悪い影響をもろに受けてしまいます。
というのもスマホで得られる情報量(トラフィック)は増加の一途でして、総務省のデータだと年1.5倍増になっています。今ネットにある情報だけでも見れないのに、それが年1.5倍になるのであれば、全ての情報を得ていくのは、不可能でしょう。
スマホから得られる情報量は、どんどん増加しているが、人間の処理能力には限界があるので、情報を絞らざるえないのです。つまり集中することが大事ということですね。
しかしスマホは、年々情報量が増えて、常に周りに誘惑するものがたくさんある状態を作り出しています。ソシャゲ、YouTube、SNSと気を取られるものばっかりで、マルチタスクを強制されるのです。
お菓子の家に入って、お菓子を1つも食べずに出てくることはできないように、スマホを触れば、マルチタスクにならざるをえないでしょう。
マルチタスクにならば、すでに語ったように、こんなデメリットがあります。
- IQが15ポイント下がる
- 生産性が40%減
- 作業時間が50%増
- ミスが50%増
現代人がスマホを使って、時間が足りないと思ってしまう思考フローはこんな感じ
実は、この続きもあって、「人間は、時間が足りないと思えば思うほど、IQが落ちる」ということが分かっています。
なんと人は、時間がないと思うと、IQが13ポイントも落ちてしまいます。これじゃあいくら時間があっても、足りませんよ笑
スマホの中でもSNSが特にマルチタスクになりやすくて有害だと言われているので注意してください。SNSのデメリットと対策については、こちらの記事に書いてあります。
時間が早く過ぎると感じていると、モチベーションが下がる
年の瀬になってこんなことを思ったことはないでしょうか?
体感から分かるように、時間が早く過ぎているという感覚は、人生が無駄に過ごされたような感覚を生むので、モチベーションが低下してしまいます。
知っての通り、時間が早く進む感覚は、歳を取るごとに早まる性質があるので、時間感覚に対して対策をしていかなければいけません。
つまり人間は、時間がないと考えるだけで、こんな感じの状態になるということ。
遅刻する人の時間感覚はヤバイ
特に時間経過の感覚が狂いやすい人がいます。それがよく遅刻する人。
上でも書いたように、普通の人でも、実際の労働時間と感覚の労働時間には、20時間ほど差があったように、人間は時間を測るのが苦手な生き物。遅刻常習犯は、時間を見積もるのが苦手なので、さらに実態と感覚のズレが生まれている可能性があります。
ワシントン大学が「遅刻する人は、なんで遅刻するのか?」を調べてくれています(1)。それによると、遅刻する人は、自分の時間感覚を過信していることが分かったのです。つまり遅刻をよくする人は、自分の時間感覚を過信するあまり、実際の時間を理解していないのです。
大葉せんせいは、かなり遅刻魔ですが、たしかに時間感覚を過信していますね笑
時間の感覚にズレがあると、「時間がない」と思い込みがち。40時間しか働いていないのに、60時間働いたという気がして、忙しい気持ちになってしまたりします。正しく時間を把握することで、時間に対して錯覚しないことが、「時間がない」という感覚を持たないために必要になってきます。
じゃあ遅刻をよくする人は、どうしたらいいのでしょうか? 対処法は、簡単なことで、時計をよく見ると、時間感覚が正常に機能します。なので腕時計をしていない人であれば、腕時計をするだけでも効果があると思います。
時間がないと思ったらときする対策
ここからは、時間がないという錯覚を打ち倒すための対処法を紹介していきます。
【対策】他人のために行動する
時間を長く感じて、余裕を持ちたいなら、他人のために行動するのが最強かもしれません。
他人に親切にすると、なんと主観の時間が2倍に伸びるのだそう(1)。2倍は、すごいですよね。なぜ他人のための行動が、こんなにも主観の時間を伸ばすのかというと、脳が錯覚を起こすから。
人は、時間がないと自分の関わることに集中しますが、他人のために行動すると、脳が「あれ、意外と余裕あるなー」と錯覚します。
時間なんてものは、主観的な感覚で、大きく変わるものですからね。同じ時間であっても、長く感じたり、短く感じたりするものというのは、いまさら語る必要もないと思います。
現代人は、自由な時間があっても、忙しいと考えてしまっているのです。すでに書いたように、現代人は意外と自由時間があって、時間がないというのは錯覚なのです。
【対策】スマホを使うのをやめる
マルチタスクが時間感覚を狂わせている原因で、マルチタスクになることで時間が足りないという感覚にさせられてしまいます。そのマルチタスクを強制的に起こすのが、スマホ。特にSNSは、時間感覚を狂わせる作用があるので、注意が必要です。
アオイフェ・マクローリンによると、スマホが時間が早く感じる原因です。アオイファ・マクローリンが行った実験によると、スマホを長時間つかっているひとは、1時間を50分ほどに感じるそう。
これは起きている時間を1日15時間だと考えると、1日で150分も早く時間が過ぎていると感じていることになります。1日のうち150分、すなわち2時間半も速く過ぎ去ってしまうのだとしたら、時間がなくて忙しいと考えるのも無理はないですよね。
一方で、スマホやテレビゲームは、知能を発達させるという意見もあります。デジタルデバイスは、知能を上げる効果がある代わりに、1日のうち2時間半も奪ってしまうと考えると、デメリットの方が大きいのかもしれませんね。
【対策】働かないほど、パフォーマンスが高くなる
労働時間が多い人は、労働時間を削ってください。もちろん、労働時間を削れば、その分だけ自由時間ができるワケですが、それだけではありません。労働時間が多いと認知機能が下がってしまうのです。認知機能が下がると作業が進まないため、時間が早く過ぎ去る感覚が強化されてしまいます。
例えば、週に60時間以上働いている人は、全く働いていない人と同じくらいまで認知機能が下がることが分かっています。
じゃあ何時間までなら働いても良いかというと、男性なら週30〜40時間が上限ですね。それ以上働くと、長期的に見ると認知機能が落ちてきてしまって、時間感覚が狂ってしまいます。
時間感覚が狂って、時間が過ぎ去る感覚が強化されると、人生の意味を見失うっていう研究もありまして、働き過ぎは注意した方がいいですね。一生懸命働いても、人生が無意味に感じてしまっては、本末転倒ですからね。
【対策】睡眠時間も減らせるかも
人生の中でも、人が大きく時間を使っているのが、睡眠です。睡眠の時間を2時間削れたら、そのまま自由時間が2時間生まれます。
睡眠削って、日中のパフォーマンスが落ちでしまうのであれば、結局は仕事が進まずに、1日が早く過ぎ去ってしまう感覚が生まれてしまいます。しかし睡眠を減らしても、パフォーマンスを落とさない方法が有れば、純粋に自由時間を増やすことができます。
世の中には、ショートスリーパーといわれている人がいて、その人たちは少ない睡眠時間でも健康なことが知られています。しかしショートスリーパーは、遺伝子が通常の人とは、異なっていて、後天的にショートスリーパーになることは不可能。かなり希少な存在で、10万人に4人しかいません。
狩猟採集民(原始人的な生活)は、睡眠時間が少ないことが分かっています。毎日5〜6時間の睡眠時間でも、質の良い睡眠をとり、健康なことが分かっています。これも体内の炎症が少ないから。
炎症とは、過度な運動だったり、不規則な生活、糖質脂質の多い食事などで、体内に受けるダメージのこと。この炎症が多いと、ダメージの回復に時間がかかって、多く眠る必要があるのです。
【対策】 予定を入れすぎるなよ
オハイオ州立大学の研究では、次に予定がある人の方が「時間がない」感覚になったそう。
次の予定があると気持ちが急いでしまうのは納得で、作業をしている場合でも、時間が気になってしまって、深く集中できなかったりします。
つまりスケジュールの組み方で、時間感覚に余裕を持たせることができるのです。
どんなスケジュールにすればいいかというと、こんな感じ。
こんな感じで、スケジュールに空き時間をちょいちょい挟むこと。そうすれば、仕事をしている時でも、次の予定が空き時間になるので時間感覚が狂うことはありません。
さらにこのスケジュールの立て方は、良いところがたくさんあります。
人間は時間を見積もるのが下手な生き物なので、1時間で終わると予想した作業は、だいたい1時間以上かかります。スケジュールをギッチリ詰めていると、スケジュールの後ろの方になればなるほど、時間が押してしまって、時間がない感覚になってしまいます。
人間は、時間がないと考えるだけでIQが13ポイント落ちるので、スケジュールの立て方だけで生産性が変わり、時間の感覚も変わるのです。
このスケジューリングの仕方は『いつも時間がないあなたに』という時間感覚についてまとめられた本でも推奨されている方法ですね。忙しくて時間がないと思いがちな人は、試してみてください。
【対策】ダイエット中に、お菓子を食べる人は、時間がない
デューク大学の論文によると、目標の衝突こそが、時間が足りないと感じる原因だと指摘しています。
例えば、
- 自由な時間が欲しいのに、会社で評価をして欲しくて残業してしまう。
- 痩せたいのに、お菓子を食べたい。
- アイドルと付き合いたいのに、清潔な格好はしたくない!
- こんな感じの目標同士の衝突は、片方の選択をすると、片方に対しての後悔が残ってしまいます。
目標の衝突したものの片方の選択肢を選ぶと脳内で、いつまでも後悔タスクが残り続けて、ストレスを感じるのです。目標衝突のストレスを感じている状態だと、人は時間の経過が早く感じられるそう。
大葉せんせいは、ダイエットのために、プチ断食をやることがあるのですが、もちろんお腹が空いてご飯を食べたくなります。そのときに、長期的なメリットを考えるとプチ断食をして、痩せた方が見た目も良くなるし、頭脳もシャープになるし、メリットが大きい気がつくことができます。長期的なメリットを考えることで、後悔が少ない選択ができるかと。
時間感覚を整えると、週に30〜40時間生まれる
なぜ今まで、こんなにも時間感覚を整えようぜって主張してきたのかというと、みんな時間がないと錯覚しているから。その錯覚を撃ち壊せば、週に30〜40時間は生み出せることが分かっています。
ということで、今回の記事は、「時間感覚を整えれば、週に自由時間を30〜40時間生み出せるぞ!」って記事でした。
忙しいと勘違いしている人は、対処法を試してみてください!